光を討つ

イルルニィはひどく苛立っていた。
彼女は高位の魔神だが、今は黒いワンピースを着た美しい人間の娘の姿をして、爪を噛んでいた。
「いまいましい…あの娘！もっといまいましいのはグータの聖衣ね。早く、誰かどうにかなさいな。
赤毛のクリムもやられてしまったようだし…
本当に腹の立つ！いったいどうしてこう、何もかもうまくいかないのかしら」
すると、彼女の傍ら、何もなかったはずのところから、黒衣に身を包んだ細身の男が優雅に姿を現し、一礼した。
「イルルニィさま、私めにお任せを」
「クックラカンね。いったい何をするつもり」
イルルニィはたいして期待していない様子で男を見下ろした。
「それは見てのお楽しみ。ちょうど、私の手元に使えそうな手駒がございます。退屈しのぎくらいにはなろうかと」
「ふぅん」
イルルニィは気のない返事をしたが、爪を噛むのを止めた。
「では、あなたの手並み、見せてもらいましょう」

登場人物
ロレッタ・シルヴィアーノ	アルカナ：コロナ＝アングルス＝マーテル平和を愛する１８歳の女性。外見はそうでもないが､年齢よりも幼い印象を受けるのは､内面の無垢さゆえか。自分の好奇心によって魔神に奪われた聖なる衣を取り返すため､旅を続ける。が、大変な方向音痴らしい…
ウィル・ド・メーヌ	アルカナ：エフェクトス＝エルス＝グラディウス名門ド・メーヌ家の子息。２４歳。世が世ならボンボンだが､先祖の不祥事により現在没落中。汚された聖剣クレマティオ(俗称エボンフラム)を持ち､家に古くから住み着いていた亀クロセルを連れ､穢れ、剣の穢れっを払う旅に出た。 ◎友人　ロレッタ・シルヴィアーノ／没落しようとも、ド・メーヌ家は名家。社交界のでの知り合い？ ◎告発　シャルル・クローディオ／シャルルがかつて、盗賊であった事を知っている。
シャルル・クローディオ	アルカナ：ルナ＝エフェクトス＝クレアータセプテントリオンを出発してから､特に目的もなくさすらう少年。今はとりあえず目的を探している。これまでの境遇に恵まれなかった為に､人間不信・人間恐怖症気味だが､屈託なく接してくれるロレッタに心惹かれる。 ○慕情　ロレッタ・シルヴィアーノ／片思い。
エルネスト・ラーンキ	３０台半ばのおじさま。世界に二人しかいない剣匠卿のうちの一人。ひたすら剣の道に生きる一本気な人物。

※リプレイ・光を打つ闇は､ＰＴＡ氏の『空飛ぶ水中城！』に掲載されているものにリンクしたものです。